株主・投資家の皆様へ

株主・投資家の皆様へ

お客様との接点を大事にしながら
当社の強みを生かし、
メニュー提案、店舗開発を進めています

代表取締役社長
有村 譲

今後の飛躍のための準備期間

2020年からのコロナ禍により、22年2月期も厳しい状況下におかれた年度となりました。当社の店舗を概ね通常通りに戻し営業を行えたのは、21年11月と12月の2カ月間のみで、それ以外の10カ月間は、断続的に発出された緊急事態宣言、まん延防止等重点措置、営業時間短縮や酒類販売自粛の要請などにより、制限を強いられた中での営業となりました。
コロナ禍における店舗運営に関してどのように対応すべきかを議論してきましたが、前期に引き続き、安全確保と感染拡大防止の社会的責任を果たすことを最優先課題としました。前期の経験を生かし、コスト削減や非接触型の店舗運営を徹底するなどの施策を進め、大きな混乱を招くことなく、営業を行うことができました。また、不採算店の閉店などで負の資産を清算することで、アフターコロナへの飛躍の体制を確立することもできました。
店舗休業や営業時間の短縮などにより、ご来店客数に影響はありましたが、収益面に関しては、これらの施策により営業損益の赤字幅は縮小。また、政府及び各自治体からの休業・時短営業要請に係る感染拡大防止協力金等が計上されており、経常利益及び当期純利益は黒字となりました。

筋肉質な体制と財務基盤の強化

コロナ禍の先行きが見えにくい中にあって、来たるべき「ウィズコロナ」そして「アフターコロナ」を見据え、キャッシュフローの改善にも取り組んでまいりました。
そのための施策として、前述したように業務改善が見込めない店舗の退店及び検討を進め、当期末店舗数は前期末から9店舗減の36店舗となり、筋肉質な体制としています。また広告宣伝費などの販管費の抑制、役員報酬の減額継続を行い、経費面の削減を進めています。特に、いわゆる三密を避けるために、注文の際のモバイルオーダーシステムの導入を積極的に進め、結果的に店舗運営における効率化を進めることで、人時生産性を高めてまいりました。
財務基盤の強化を図るために、22年2月に親会社(株式会社DDホールディングス)に対して「第三者割当によるA種種類株式の発行(デット・エクイティ・スワップ)」を実施し、負債の圧縮と自己資本比率の改善を行い、債務超過の状態を脱しました。

コロナ禍でも伸びる直営店のブランドも

コロナ禍でも、飲食サービス事業で伸びているのが、IPコンテンツを活用したコラボカフェです。期中に新たに1店舗出店しており、売上高増に貢献しております。
コラボカフェは来店動機が明確であることや、お一人様の来店など時節に合致した傾向も見受けられ、今後の成長が期待できる分野だと考えています。現状では、規模はまだ大きくはありませんが、コンテンツを提供していただく版元様や代理店様との協業を進めながら、案件数を拡大し、事業の柱に育てていきます。
また、前期末で当社は11の店舗ブランドを保有していますが、それぞれが何を売りにして、何をサービスとして、何を体験してもらうかというストーリーを見直して、ブランド力の強化を図ります。
22年2月期に売上を大きく伸ばしたブランドがあります。その一つがチーズ料理とお酒を楽しめるカジュアルダイニング業態の「Cheese Table」です。同業態からは、「生カマンベールチーズケーキ」や「レアチーズケーキサンド」などのヒット商品も生まれています。こうしたヒット商品は、今後、駅ナカのコンコースなどの催事コーナーでも展開して認知度を高め、さらに当社が運営するECサイトへの送客も図っていきたいと考えています。
また鎌倉の材木座に立地する「海沿いのキコリ食堂」は、鎌倉の海を一望できる立地と、開放的なテラス席での食事、アウトドア気分で味わえる料理がマスコミやSNSなどで広く知られ、若いお客様から支持を集めています。業績も好調で、過去最高の売上高を達成いたしました。
プロデュースとイベント領域のコンテンツ企画サービスは、業務受託が主なビジネスモデルとなっています。たとえば、株式会社ポケモンのオフィシャルショップ「ポケモンセンタートウキョーDX(ディーエックス)&ポケモンカフェ」に常設するカフェ店舗や、株式会社川崎フロンターレのオフィシャルカフェ「FRO CAFE(フロ カフェ)」などは好調に推移しております。当社としましては、クライアント様との協業関係を築きながら、しっかりお店を運営していくことで、安定的な利益を出すように努めております。

人材育成が成長戦略の礎

飲食店でありながら他にないサービス、料理における演出、さらなる楽しみ・喜び・体験といった付加価値の提供がより重要です。当社は「全員企画=全員現場主義」をカンパニーポリシーに掲げています。店舗運営において効率化を図りましたが、お客様との接点は疎かにできません。お客様からの意見や提案を受け止め、メニュー開発や営業戦略につなげることが、今後の事業発展の礎になると考えています。
そのためにも、これからの成長エンジンとして位置づけているのが、人材育成です。
当社は、新入社員向けと幹部候補生向けの社内研修制度「SLDアカデミー」を設けていますが、そこから派生する形で、事業内のユニット研修など、自主的に行う研修も行われています。
また若手社員による商品開発も積極的に行われています。その一つが、新入社員が企画・開発・販売までを担った「メルトショートケーキ」です。文字通り、とろける生クリームがたっぷりなショートケーキで、若手ならではの発想で生まれたメニューなのですが、大ヒットして、SNSにアップされたり、メディアなどに紹介されたりしています。
今後もこうした、若手社員による自主的な企画や発想力に期待をしています。

お客様の期待を超える価値を提供していきたい

この1年で、これからの成長戦略を描くための兆しも見えてきました。これまでに撒いてきた種から根が生え、新芽が顔を出してきた段階になっていると実感しています。これから、この新芽をどうやって育てていくのかが、今年の1年の課題だと思っています。
企業理念である「To Entertain People〜より多くの人々を楽しませるために〜」の価値観の下、楽しんでいただける心地よい空間づくり、ワクワクするような企画の発信、お客様の期待を超える価値を提供できる店舗づくりに邁進していきます。新たな成長戦略を描けるようしっかりと舵取りをし、株主の皆さまのご期待にお応えできるよう、全社一丸となって最大限の企業価値向上を図る1年にしてまいります。
引き続きご支援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。